オリーブオイルの積極摂取で2型糖尿病の発症リスクが40%減少

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心血管疾患の高リスク者を対象とした比較試験で、オリーブオイルを積極的に摂取した場合、2型糖尿病の発症リスクが約40%も減少したという驚きの結果が出ました。オリーブオイルの2型糖尿病予防効果を示唆した比較試験の概要と、研究成果の信憑性について解説しています。

前記事では、オリーブオイルとナッツ類を豊富に摂取する地中海食を継続して食べることで、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患イベントの初発リスク(最初に発症するリスク)を約30%も減少させたという驚きの研究成果について取り上げました。

まずは、その解析結果の元となった比較試験の概要を、ここでも簡単にご紹介しておくことにします。詳しくは後述しますが、今回の研究成果にも関わることですので…

比較試験の概要について

比較試験の対象となった被験者は、心血管疾患の既往はないものの、糖尿病や高血圧、高脂血症や喫煙習慣などの心血管疾患の危険因子を複数(3つ以上)抱えている高リスク者でした。そして、登録された全7,447人を、以下の3つのグループにランダムに振り分け、約5年もの長期に渡る追跡調査が実施されたわけです。

  • 第1群 : オリーブオイル群 (※1)
  • 第2群 : ナッツ群 (※2)
  • 第3群 : 脂質制限群 (※3)

(※1) 1日に50ml相当のオリーブオイル(エキストラバージンオリーブ油)の摂取を目標とする群。
(※2) 1日にウォルナッツを15g、アーモンドを7.5g、ヘーゼルナッツを7.5gの摂取を目標とする群。
(※3) オリーブオイル群とナッツ群に対する対照群。具体的にはオリーブオイルを含む植物油の摂取を、1日にスプーン2杯以下に制限した脂質制限群。

その結果、前述のように、オリーブオイルやナッツをたっぷりと摂取する地中海食に、心筋梗塞や脳卒中などの初発リスク(最初に発症するリスク)を大幅に抑制する効果が確認されたわけです。この結果の詳細については前記事を参照していただければと思います。

サブテーマは2型糖尿病の予防効果の解析

この比較試験のメインテーマは、あくまで心血管疾患高リスク者の地中海食と通常食(脂質制限食)との間の、心血管疾患イベントの初発リスクの違いを確認するものだったのですが、実はサブテーマとして2型糖尿病の新規発症率についても解析がなされていたのです。

比較試験参加当時は2型糖尿病を発症していなかった、心血管疾患高リスク者 3,541人を対象に、4.1年に渡って追跡し、2型糖尿病の新規発症率を比較した注目すべき結果は次の通りです。

追跡期間中に全体で273例が糖尿病を発症。各群の発症者数は順に80例、92例、101例。1,000人年当たりの割合は16.0、18.7、23.6。

対照群に対する糖尿病新規発症の調整後ハザード比はオリーブ油群で0.60(95%CI0.43~0.85)と有意に低下。ナッツ類群でも0.82(同0.61~1.10)と、低下傾向にあったが有意ではなかった。

オリーブオイルが2型糖尿病の新規発症を40%も抑制!

オリーブオイルの原料となるオリーブの実

つまり、約4年に渡る追跡期間中に、2型糖尿病を新規に発症した被験者数を比べてみたところ、オリーブオイルを毎日積極的に摂取していた第1群は、対照群(オリーブオイルを含む植物油の摂取を制限されていた第3群)に比べると、なんと約40%も少なかったという驚くべき結果が出たわけです。

ちなみに第2群であるナッツ類を積極摂取するグループの発症率も、対照群に比べると約18%減と低下傾向は見られたものの、オリーブオイル群ほどの糖尿病予防効果は認められませんでした。

メインテーマである心血管疾患の初発リスクについても、地中海食が通常食に比べてリスク抑制効果が高かったことは同様なのですが、心血管疾患の初発リスクに関しては、オリーブオイル群(30%減)とナッツ群(28%減)の間にほとんど差はありませんでした

これに対して、今回の2型糖尿病の新規発症率に関する解析結果は、特にオリーブオイル群に顕著な予防効果が認められたという点にも、今後は注目していくべきなのかも知れませんね。

データ不足の可能性も…特に「40%」の信憑性について

但し、今回も気になる記述が一点あります。

今回のサブ解析の限界として研究グループはランダム化の時点で糖尿病の有無による層別化は行っていないこと、同試験では対照群の脱落率が多かったことを指摘。

サブ解析のためのグループ分けはなされなかった

今回の糖尿病の発症リスクを解析したサブ解析は、比較試験参加当時、糖尿病を発症していない人が対象でした。本来であれば、比較するための3つのグループに振り分ける際は、糖尿病未発症の対象者を各グループに均等に振り分けるべきだと言えます。

しかし、今回の比較試験のメインテーマは、あくまで心血管疾患の初発リスクを確認することでしたから、糖尿病の有無を振り分けの条件にするわけにはいかなかったのはもちろん、それとは別にサブ解析のためのグループ分けすることまではしなかったと言うことでしょう。

サブ解析の対象となる被験者は半減していた

しかも、そもそも今回の比較試験の対象となった被験者は、糖尿病や高血圧、高脂血症など心血管疾患の危険因子を複数抱えている心血管疾患高リスク者です。普通に被験者を集めた場合に比べると、比較試験参加時に既に糖尿病を発症していた人の数は自然と多くなっていたと予想できます。

と言うことは、逆に今回のサブ解析においては、比較試験に参加した被験者のうち解析対象となる人、つまり比較試験参加時に糖尿病を発症していなかった人はどうしても少なくなっていたはずです。

実際よく読んでみると、比較試験全体の被験者は 7,447人だったのに対し、サブ解析の対象となった被験者は 3,541人と半減していたようです。つまり、比較試験開始時に既に糖尿病を発症していた約半数の被験者が、サブ解析の対象から外されたわけです。

対象群のデータが不十分だった可能性も

さらに、前記事でも指摘したのですが、やはり対照群である第3群の脱落率が高かったようです。と言うことは、対象群たる第3群に振り分けられた被験者の数が、他の2群に比べると相対的に少なくなっていたわけで、比較すべきデータが不十分だった可能性も考えられますね。

2型糖尿病の発症リスク「40%」減の信憑性について

つまり、糖尿病の発症リスクを解析したサブ解析における解析対象者は、メイン解析に比べると最初から半減していた上に、3つのグループに偏って振り分けられ、さらに糖尿病発症リスクを比較すべき肝心の対象群の解析対象者が、他の2群に比べて少なかったと言うことになります。

地中海食、特にオリーブオイルを積極的に摂取すれば、2型糖尿病の発症リスクを抑制しうるという効果自体は、大いに期待したいところではありますが、それが地中海食をとらなかった場合に比べると、約40%も減少するという数字については、少し過大評価だった可能性も考えられるのではないでしょうか。

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Category : オリーブオイルの健康効果