ピロリ菌を除菌する前に知っておくべき除菌治療の4つの限界

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ピロリ菌を除菌することで、その後の潰瘍や胃がんの発症リスクを大きく抑えることができます。この除菌治療のメリットばかりが強調される一方で、そのリスクとデメリットをご存じですか?そんなピロリ菌の除菌治療における4つの限界について詳しく解説しています。

サプリメントマニュアルでは、これまでピロリ菌検査や除菌治療におけるメリット面を中心に取り上げてきました。しかし、それをもって…

さぁ、ピロリ菌検査を受けましょう!
そしてピロリ菌に感染していれば、胃がんを予防するためにすみやかに除菌しましょう!

とは、安直に考えるべきではありません。
今後はますます”胃がんの発症予防”という除菌治療の大きなメリットばかりが強調され、除菌治療を安直に促す方向へ進むことが懸念されることから、本記事では、ピロリ菌除菌治療における限界についてもキチンと触れておくことにしました。

除菌治療を受ける前に今一度、じっくりと考えてみませんか?

ピロリ菌 除菌治療の4つの限界

サプリメントマニュアルは、ピロリ菌の除菌治療に当たっては、次のような4つの限界を十分に考慮する必要があると考えます。

  1. 除菌治療で副作用があらわれる場合がある
  2. 除菌に失敗する可能性もある
  3. ピロリ菌保菌者の全てが胃がんになるわけではない
  4. ピロリ菌の除菌に成功しても定期検診は必要です
ピロリ菌の除菌治療における4つの限界解説図

除菌治療で副作用があらわれる場合がある

少なくとも、ピロリ菌の除菌治療には以下のような副作用が顕れるケースがあることを知っておくべきだと言えます。

  • 軟便
  • 下痢
  • 口内炎
  • 味覚障害
  • 腹痛
  • 発熱
  • かゆみ
  • 発疹
  • 肝機能の検査値の上昇

これらの副作用は統計上、約10%の人に顕れると言われています。軟便や下痢、味覚異常、口内炎などの症状が軽い場合は、決められた日数(7日間)分は最後まで除菌薬の服用を続けましょう。絶対にご自身の判断で服用する量や回数を減らしてはなりません

但し、腹痛や下痢がひどい場合、便に血が混ざっている場合、発熱があったり、かゆみや発疹などのアレルギー症状が見られる場合には、この限りではありません。直ちに除菌薬の服用を中止して、主治医に連絡してください。

いずれにしても、ある程度の副作用があらわれることを前提にした上で、たとえ少々の副作用があらわれたとしても、7日間通して除菌薬を飲み切れる期間、つまり除菌治療に入るタイミングを十分に図る必要があると言えますね。

除菌に失敗する可能性もある

これらの副作用により除菌治療を途中で中止してしまったり、不注意などによって決められた量や回数の除菌薬を服用しなかった場合だけでなく、適正に除菌治療を行った場合でも、除菌に失敗する可能性があることに留意しなければなりません。

一次除菌の成功率は約80%、それに失敗した場合の二次除菌の成功率は80~90%、一次除菌と二次除菌を通したトータルの成功率は約95%とのことなので、約5%の人は除菌治療に失敗することになります。

運悪く除菌治療に失敗してしまった場合、ピロリ菌が除菌薬に対して耐性を持つ可能性もあります。そうなってしまうと再除菌が難しくなることは言うまでもなく、事前にそういったことも考慮しておく必要があるかも知れません。

除菌後に逆流性食道炎が…

見事、除菌が成功すれば、それまで再発に苦しめられてきた潰瘍患者は、潰瘍の再発が極めて少なくなるなど、多大なるメリットをもたらすと言えます。しかし、必ずしも良いことばかりではないことにも注意が必要です。

と言うのも、ピロリ菌によって抑えられていた胃酸が、除菌後に正常に戻ることにより、逆流性食道炎を新たに発症したり、元々罹患していた人は症状が増悪するケースが10%前後あるようです。

もっとも、その症状も軽微で一時的な場合が多く、逆流性食道炎としての治療が必要となることもまれですし、逆に最近では、特に高齢者の場合、除菌治療前から罹患していた逆流性食道炎が除菌治療によって軽快したという報告もあるようです。

ピロリ菌保菌者の全てが胃がんになるわけではない

そもそもピロリ菌に感染しているからと言って、必ずしも胃がんを発症するとは限りませんその時の胃の状況を見て、特にピロリ菌による悪影響が見られない場合であれば様子を見るという選択肢も十分にあると考えます。

通常、ピロリ菌の感染から胃がんに至る過程には、次のような段階があります。

ピロリ菌の感染から胃がんに至る過程

ピロリ菌の影響によって慢性的な胃炎が繰り返されると、胃液や胃酸などを分泌する粘膜組織が減少し、胃の粘膜が薄くなってしまいます。これにより胃潰瘍十二指腸潰瘍胃ポリープなどを発症するリスクが高まります。

また、胃粘膜が薄くなると、胃液が十分に分泌されなくなってしまいます。すると胃の中の食べ物がうまく消化できなくなり、食欲不振や胃もたれなどを引き起こす機能性胃腸症(機能性ディスペプシア)に繋がる可能性があります。

ピロリ菌の感染によって、このような症状を繰り返すうちに、やがて胃粘膜はより薄く、痩せて萎縮した状態になります。この胃粘膜の萎縮が進み慢性的に炎症を起こしている状態が 「萎縮性胃炎」 です。

最近の研究で、この萎縮性胃炎の状態を放置し、胃粘膜の萎縮度が進めば進むほど、胃がんの発症リスクが高くなるとの結果も出ていますが、さらにその上に、喫煙や塩分の摂りすぎ、野菜不足などの環境因子が加わることで、胃がんの発症リスクが飛躍的に高まると考えられています。

なお、この辺りのメカニズムについて、よりイメージし易いように豊富な図解を用いて、できる限りわかりやすくまとめた記事をご用意しました。特に、ここでは詳しく触れられなかったピロリ菌が胃粘膜に炎症を引き起こす複数の要因についても、丁寧に解説したつもりですので、是非この機会に下記の記事もあわせて参照していただければと思います。

ピロリ菌が胃がんを引き起こすプロセスを図解でわかりやすく解説

直ちに除菌治療に入るべき場合、様子を見た方が良い場合

若い人の場合は、残りの長い人生を考えれば、ピロリ菌の除菌によってその後の慢性胃炎や萎縮性胃炎のリスクを大きく低減することができると言えるので、少々のリスクには目をつむって、できるだけ早い時期に除菌治療に入られることをお勧めします。

その一方、特に高齢者の場合などは、除菌治療におけるメリットだけでなく、前述のような様々なリスクを考慮し、その両者を天秤にかけた上で、除菌治療を受けるか否かを慎重に判断するべきではないでしょうか。

実際、除菌治療中にその副作用として発症した味覚障害が、治療後もなかなか改善しなかったり、治療前には無かった逆流性食道炎に悩まされるようになったり、腸内環境がガラリと変わってしまい、便秘や軟便に苦しむようになってしまったなどという話も少なくありません。いくらピロリ菌の除菌に成功したとしても、このような症状に悩まされるようになっては本末転倒ですからね。

胃粘膜の萎縮度をチェックして除菌治療に

たとえば高齢者の方が、胃腸の調子が悪いわけでなく、たまたま胃の定期検診でひっかかり、その後の精密検査の際にピロリ菌の感染が判明したような場合などは、無理に除菌治療に入らない方が良い場合もあると言えます。

そのような人の除菌治療は、ピロリ菌への感染が判明した段階ではなく、胃痛や胃の不快感、食欲不振や胃もたれなど、胃に何らかの異常が認められた段階、さらに言えば、「萎縮性胃炎」の兆候が認められた段階で初めて除菌治療に入った方が良いケースも少なくありません。

そして、その ”萎縮性胃炎の兆候” は、血液中のペプシノゲン濃度を測定することによって診断できるのですが、実は、これをご家庭にいながらにして、医療機関での検査と同等の精度で診断できる検査キットがあるのです。

胃がん検査(ペプシノゲン)【健康バスケット郵送検診】

こちらの胃がん検査キットは、「胃がん検査」とありますが、正確には胃がんの原因となる「萎縮性胃炎の有無」を診断する検査キットです。採取した検体(血液)を郵送すると、専門の検査機関で精度の高い検査が実施され、その結果が郵送される、今話題の ”郵送検診” です。

ランセットと呼ばれる専用の採血器具がセットされているので、ひとりでも簡単に採血することができますし、それほど痛いものでもありません。公式サイトにはイラスト入りでランセットを使った採血方法の具体的な説明があるので、気になる方は参照してみてください。

胃がん検査キットの活用法とまとめ

もしもピロリ菌の感染が確認されたものの、特段、胃に異常がなく、食欲不振や胃もたれといった症状も見られない高齢者の場合は、例えば年に1回など、この「 胃がん検査キット 」で定期的にチェックして、萎縮性胃炎への進展が認められた段階でピロリ菌の除菌治療に入るという手もあるのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、ピロリ菌の除菌には大きなメリットもありますが、その一方で少なからずリスクも存在することを、除菌治療に入られる前に確認しておくことが大切です。また、ピロリ菌の除菌治療は、この点についても詳しい説明をしていただける医師の下で実施されることをオススメしておきます。

なお、萎縮性胃炎の有無だけでなく、ピロリ菌感染の有無も同時に検査したいという方には、2つの検査キットがセットになった、よりお得な「 胃がん検査セット 」も用意されていますし、逆にピロリ菌検査だけを受けたい場合には、ピロリ菌検査キットのみを購入することもできます。興味のある方は、以下のページで詳しく解説しておりますので、そちらも参考にしていただければと思います。

自宅で手軽にピロリ菌検査!ピロリ菌検査キットの詳細と注意点

ピロリ菌の除菌に成功しても定期検診は必要です

除菌治療に成功すれば、胃からピロリ菌がいなくなるわけですが、それをもって胃がんの発症リスクがゼロになるわけではありません。ピロリ菌除菌後も定期的な検診は依然として必要です。もちろん検診の頻度は胃の状態などによって変わってくると考えることができ、その具体的な目安は次の通りです。

  • 胃に萎縮のある人は年に1回
  • 萎縮の無い人は2~3年に1回

過去にピロリ菌に感染したことのある人は、がん化に向けたスイッチが入り、除菌治療後も胃がんを発症するリスクが高まるとする見解もありますので、ピロリ菌の感染歴のある人は、継続的に注意深く観察していく必要があると言えますね。

但し、高校生くらいまでの早い段階で除菌した場合には、がん発症のリスクは低くなるとの報告もあり、できればより早い段階でのピロリ菌検査の必要性を指摘する見解もあります。

もちろん、ピロリ菌に元々感染しておらず、胃の萎縮も見られない人でも、5年に1回は検診を受けておいた方が良いでしょう。胃がんは早期に発見することができれば何ら恐れる病気ではありません。何よりも早期発見、早期治療を心がけましょう。

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Category : 胃痛・胃の不快感・胸焼け