脳に効くDHAやEPAをもってしても認知症は予防できないとの調査結果が・・・

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俗に「脳の栄養素」とも呼ばれているDHAやEPAは、これまで認知症の予防効果が大いに期待されていました。ところが今回、アメリカで実施された高齢女性を対象にした調査研究で、DHA・EPAの認知症予防効果を否定するような残念な結果が出てしまったようです。

そもそも不飽和脂肪酸ってなに?

DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は「不飽和脂肪酸」の一つで、体内では合成することができないため、食事やサプリメントなどから摂取しなければならない必須脂肪酸です。昨今では、その健康効果の高さから「不飽和脂肪酸」という言葉を耳にする機会が多くなりましたが、ではその「不飽和脂肪酸」とは一体どういったものなのでしょう?

そもそも脂質を形成している脂肪酸には、常温で固まりやすい性質を持っていて摂りすぎると動脈硬化などの原因になってしまう「飽和脂肪酸」と、それとは逆に、様々な健康効果を有している「不飽和脂肪酸」に大きく分類することができます。

常温で固まりやすい脂肪酸が「飽和脂肪酸」ということは、「不飽和脂肪酸」は”常温で固まりにくい性質を有している”ことは容易に想像がつきますが、実はこの点こそが不飽和脂肪酸が有する様々な健康効果の最大の要因になっていると言っても過言ではありません。

不飽和脂肪酸の常温で固まらない性質による様々な健康効果

つまり不飽和脂肪酸が細胞に取り込まれると、その固まりにくい性質のため細胞壁の流動性が高まり、各細胞のしなやかさが増します。それが血管細胞であれば血管がしなやかになることにより動脈硬化を予防し、それが血液細胞である赤血球であれば、体中をかけめぐる赤血球の一つ一つが柔軟になることにより、血栓ができにくくなり血液がサラサラな状態になります。そしてそれが脳の神経細胞であれば、約140億個とも呼ばれる脳内の各神経細胞がしなやかに結びつくことにより、神経伝達物質の生産量が高まり、脳内の情報伝達が活性化するわけです。

DHAとEPAの相違点について

脳には有害な薬物や毒物から自らを守るために「血液脳関門」と呼ばれる”関所”のような機構が備わっていて、DHAはこの「血液脳関門」を通過できる唯一の脂肪酸です。従って、脳内に分布するのは、いくつかある不飽和脂肪酸のうちのDHAだけと言うことになります。

と言うことは、脳内に直接入って働くという作用は、残念ながらEPAにはありません。とは言え、EPAとDHAはその科学構成式も本当によく似ており、作用的にも似ている点が多く、むしろ血栓をできにくくする作用である抗血栓作用に関しては、DHAよりも強いと考えられているほどです。

さらにEPAは前述の通り「血液脳関門」のフィルターにひっかかり、脳内へは入ることができません。しかしその際、ある酵素によってDHAに転換されることにより、血液脳関門をすり抜けていると考えられていますので、結果としてDHAとEPAは体内で同じ役目を果たしていると言えます。

DHAの脳内での活躍について

脳内には140億個もの細胞が集まっていると言われており、その細胞には「ニューロン」と呼ばれる神経細胞があります。このニューロンはその表面から「シナプス」と呼ばれる突起を伸ばし、他のニューロンと結合することによって神経細胞間の情報伝達を行います。

このニューロン間の情報伝達を担っているシナプスを柔軟にすることによって、シナプスの働きを良くしている物質こそが、DHAなんですね。DHAによってシナプスの働きが良くなることによって、情報の伝達がスムーズになり、その結果として認知機能の向上・・・つまり、記憶力や集中力の向上に繋がっていると考えられています。

つまり、DHAは脳の神経細胞間の情報ネットワークを形成し、そこでの情報伝達を活性化させるのに欠かせない物質だと言えます。

以上のように、脳に大きな影響を与えているDHAやEPAですから、認知機能の維持や向上に効果があると考えられるのも当然で、今や高齢化社会を迎えて社会問題ともなっている認知症の予防効果に対しても大いに期待されていたわけです。

アメリカで行われた調査研究の詳細と結果

そこで今回、アメリカで高齢者の女性を対象にした次のような研究が行われました。

米国の女性を対象にした研究の参加者のうち、子宮の摘出手術を受けた65~80歳の認知症が認められない2,157人について、血液検査でDHAとEPAを合わせた濃度を測定。その値によって低濃度、中濃度、高濃度の3つのグループに分類して、それぞれに対して7つの項目についての認知機能の検査を行った。(※読みやすいように一部改変しています。)

その結果、やはりDHAとEPAの濃度が最も低いグループに比べて、最も高いグループで認知機能が高く保たれていることがわかりました。冒頭で述べたように、DHAとEPAは体内で合成することのできない栄養素ですから、血中のDHA・EPA濃度が高いと言うことは、日頃からDHAやEPAを豊富に含んだ食事を積極的に摂っているということに他なりません。そして日頃からDHAやEPAを積極的に摂取している人の方が、高い認知機能をキープしていたことがわかったわけです。

ところがです。

この結果から、教育、人種、肥満度、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣上の影響を除外してみると、7つの検査項目のうち6項目で両者に差がなくなり、残りの1項目も差が僅少だったという非常に残念な結果が出てしまいました。

DHAやEPAをせっせと摂取するだけでは認知症予防には繋がらない・・・

つまり、食事やサプリメントなどを利用して、日頃から積極的にDHAやEPAを摂取していたとしても、例えば運動不足な状態が慢性化していたり、肥満傾向にあったり、深酒の習慣や喫煙習慣があったり・・・そういった生活習慣上の問題がある場合には、たとえ血中のDHA・EPA濃度を上げることができたとしても、DHAやEPAによる認知症予防効果は期待できないという結論が出てしまったわけです。

少なくともこれからは・・・「DHAやEPAを豊富に含む食材を積極的に食べているから私は大丈夫!」「自分はDHAやEPAのサプリメントをしっかり摂取しているから、少々その他の生活習慣に問題があったとしても認知症予防はバッチリ!」なんて考え方は、改めた方が良いのかも知れません。

もっとも、調査の概要を注意して読んでみると、調査対象に選ばれた高齢者は全員が子宮の摘出手術を受けた女性に限られていたようで、たとえ今回の検査結果ではホルモン補充療法などの影響を除外されていたと言っても、子宮摘出による何らかの影響を受けていたと考えることもできますが・・・

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