妊婦さんが危ない!初の大規模調査でリンゴ病の恐怖の実態が明らかに

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発症すると頬などに赤みを帯びる症状が出ることで知られる「リンゴ病」について、今回、妊婦さんを対象にした厚生労働省による初めての全国規模の調査が行われました。その結果、感染胎児の7割が流産・死産しているという恐るべき実態が明らかになりました。

発症すると頬などに赤みを帯びる症状が出ることで知られる「リンゴ病」について、今回、妊婦さんを対象にした厚生労働省による初めての全国規模の調査が行われました。その結果、感染胎児の7割が流産・死産しているという恐るべき実態が明らかになりました。

リンゴ病とは?

そもそも「リンゴ病」は、正式名称を「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」と言い、パルボウイルスB19と呼ばれるウイルスを介して感染する感染症です。感染すると10日~20日の潜伏期間を経て発症しますが、感染力はそれほど強くないため、短期間で急激に流行するようなことはほとんどありません。その具体的な症状は次の通りです。

リンゴ病の代表的な症状

  • 頬や腕、おなか、太ももなどに赤色の紅斑が現れる
  • 頭痛や関節痛
  • 微熱(高熱になることは少ないようです)
  • せき、鼻水・鼻づまりなど風邪のような症状

特に幼児や児童の発症が多い感染症ですが、感染者の咳やくしゃみなどの飛沫感染によって拡散するため、育児中のお母さんが家庭内で感染するケースも多いと見られています。残念ながら、このパルボウイルスB19に有効なワクチンや、決め手となる治療法は現時点では存在しません。とは言え、重症化することはほとんどなく、たいていの場合は自然に回復しますので、それほど心配する病気ではありません。次の一点を除いては・・・

その一点とは・・・

妊婦さんが感染すると、流産や胎児死亡などを発症する危険性があるということです。

リンゴ病で胎児死亡に至るメカニズム

りんご病の原因ウイルスであるパルボウイルスB19が感染するのは、「赤芽球」という赤血球の”もと”になる細胞で、ウイルス感染によりこの細胞が破壊されると、赤血球の材料となる細胞が壊されてしまうわけですから、新たに赤血球が作られなくなり、どんどんと減少してしまいます。

妊娠中に母体がこのウイルスに感染してしまうと、胎盤を通して胎児にも感染が及び、胎児の赤血球も減少してしまいます。やがて「胎児貧血」の状態に陥ってしまうわけですが、この貧血状態が進むと、胎児はむくみがひどくなり「胎児水腫」の状態になって、最終的には死に至るケースも多いのだとか。

厚生労働省によって初めて行われた全国規模の調査の結果・・・

そこで今回、「リンゴ病」の流行年だった2011年を対象に、全国の妊婦さんに対する、厚生労働省による初めての大規模な調査が行われました。その詳細は次の通りです。

妊婦健診を実施する全国2,714施設に、妊娠中のウイルス感染について11年を対象に調査した。

回答があった1,990施設を分析した結果、母から胎児へのパルボウイルスB19感染を69人確認。うち35人が流産、14人が死産、3人が中絶で、残り17人が出産だった。妊婦の半数はリンゴ病の症状がなかった。

山田秀人神戸大教授(厚生労働省研究班 主任研究長)は「11年は流行年だったこともあり、今回の調査で妊婦への影響の大きさが明らかになった。パルボウイルスB19を知っている妊婦は少ないとの調査結果もあり、何らかの対策が必要だ」と話している。

明らかになったリンゴ病の恐怖

パルボウイルスB19の感染が認められた胎児が69人。そのうち流産、あるいは死産という残念な結果になってしまったのが49人ということは、実に71%にも及ぶ高い確率であることが明らかになったわけです。

さらに、胎児への感染が確認された妊婦さんの半数にりんご病の症状が出現していなかったということは、お母さんが気付かぬ間にお腹の赤ちゃんに感染し、お腹の中で症状が静かに進行していることを意味しています。これもリンゴ病の恐ろしい一面ではないでしょうか。

また、リンゴ病のこんなに恐ろしい一面が判明した一方で、特に注意すべき当の妊婦さんが原因ウイルスであるパルボウイルスB19を知らないケースが多かったことは非常に問題だと言わざるを得ません。

リンゴ病と風疹の相違点

胎児に影響を与える感染症

リンゴ病同様、妊娠中の女性が感染することで、胎児に大きな影響を与えててしまう可能性のある感染症に風疹が挙げられますが、昨年来の大流行で大きな社会的問題にまで発展し、メディア等様々な機会で取り上げられ、現在では妊婦さんはもちろんのこと、多くの国民が風疹に対する正しい知識を得ていると言えます。

リンゴ病には風疹ほどの強い感染力はありませんし、風疹のように有効なワクチンも存在しないため、「これさえしておけば・・・」的な対策をとることはできないのですが、これらのリンゴ病の恐ろしさの実態を、妊婦さんを中心に広めていく必要があると考えます。

もっとも、今回のリンゴ病は風疹と決定的に異なる点があります。それは風疹には先天性風疹症候群という出生児に難聴や白内障、心疾患などの先天異常が発症するリスクがありますが、りんご病の場合には、たとえ妊婦さんが感染してしまったとしても、出生児に異常が出ることが少ないのだそうです。その意味で過剰な心配の必要はないと言えますね。

とは言え、風疹ワクチンのような有効なワクチンが存在せず、感染してしまった場合も決め手となる治療法もない現状にあって、妊婦さんは人混みをできる限り避け、手洗いやうがいの励行など、感染症の一般的な予防対策が重要になることは言うまでもありません。

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Category : 健康・医学の最新情報