もうがん治療で妊娠を諦めない!保存卵巣の移植で卵巣機能の回復に成功

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抗がん剤治療や放射線治療により卵巣にダメージを受けた場合、その後の妊娠を望めなくなる場合があります。ところが今回、がん治療後でも妊娠を諦めずに済む国内初の治療成果が発表されました。卵巣機能低下による3つのリスクとあわせて詳しく解説しています。

がん治療前に保存した卵巣細胞の移植で機能回復に成功!

悪性リンパ腫を発症した20代の女性に対して、抗がん剤治療で機能が失われる前に卵巣を摘出して、正常な卵巣組織を凍結保存しておき、がん治療後に体内に戻して卵巣機能そのものを回復させることに成功しました。

この研究成果は、順天堂大などのチームによるもので、これまで40歳未満で卵巣機能が低下し自然閉経を迎えてしまった”早発閉経”の患者への移植例はあるものの、がん治療後の移植と卵巣機能回復の報告は国内初なのだそうです。

その具体的な治療の詳細は次の通り。

菊地盤先任准教授によると、移植を受けたのは悪性リンパ腫の20代の未婚女性。2010年に左右一対ある卵巣の片方を摘出し、1センチ角の組織片10枚を凍結保存した。

女性はその後、抗がん剤治療や骨髄移植を受け回復したが、治療によって卵巣の機能が失われ、エストロゲンという女性ホルモンを作れない状態が1年続いた。12年7月に組織片2枚を解凍し、体内に残った卵巣に移植した。組織にがん細胞が残っていないことを検証したとしている。

半年後、卵子を包む袋のような卵胞が発育したことが超音波で確認でき、卵胞がつくるエストロゲンの血中濃度も上がったという。

早期の卵巣機能の喪失や低下による3つの大きなリスク

将来妊娠が難しくなる

抗がん剤による治療や放射線治療はがん細胞をやっつけると同時に、正常な細胞にも大きな負担を強いることになります。過酷ながん治療の末に卵巣機能が失われてしまった場合、たとえがんを克服できたとしても、将来妊娠を望めないという悲しい結果に・・・

心臓疾患や脳卒中のリスクが跳ね上がる

また、通常よりも早期に卵巣機能が低下し、閉経してしまった場合、晩年の心臓血管疾患や心臓発作、脳卒中のリスクが、早期閉経でない女性と比べると2倍以上高くなるとの研究結果も出ています。
via. 早期閉経すると心臓疾患リスク高まる、米研究

骨粗しょう症のリスクがつきまとう

さらに、女性は閉経を迎えると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に低下することにより骨粗しょう症の発症リスクが跳ね上がってしまいます。実際、60代女性の3人に1人、60代女性の2人に1人が骨粗鬆症を発症しているというデータも・・・

抗がん剤治療や放射線治療、その他の様々な原因により早期閉経に至ってしまった場合は、若くして骨粗しょう症発症リスクを負ってしまうことになることは言うまでもありません。

抗がん剤治療

今回の治療成果は、特に抗がん剤治療や放射線治療などのがん治療によりダメージを受けた卵巣が、その機能を喪失、あるいは著しく低下させてしまうことによって生じる、これら3つの大きな弊害とリスクの回避を可能とする大変素晴らしい成果だと言えますね。

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Category : 健康・医学の最新情報