ルテイン、ゼアキサンチン、DHA、EPAは加齢黄斑変性の進行を止められない

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以前よりルテイン、ゼアキサンチン、DHA、EPAを積極的に摂取することで、加齢黄斑変性の進行を食い止める可能性が示唆されていました。ところが今回、大規模な試験の結果、これらの栄養素に加齢黄斑変性の進行を抑制する効果が期待できない可能性が明らかに!

今回は久しぶりにサイトタイトルにもある「サプリメント」に関する話題から。先日、加齢黄斑変性のサプリメント療法に関する注目すべき報告があったのをご存じですか?

加齢黄斑変性とは?

まずは加齢黄斑変性について簡単に触れておきます。加齢黄斑変性とは、その名の通り”加齢”に伴って網膜にある”黄斑部”が”変性”を起こす病気で、最近ではいくつかの治療法が新たに開発されてきたとは言え、依然として失明の原因にもなりうる非常に恐ろしい難病です。

実はうちの母も定期検診の眼底検査で「加齢黄斑変性の疑いあり」との診断が下され、眼科で精密検査を受けたところ、幸い加齢黄斑変性の疑いは晴れたものの、ごく初期の緑内障が発覚し、現在も治療中であります。

加齢黄斑変性と緑内障

加齢黄斑変性と緑内障は、いずれも加齢とともに罹患率があがる病気であること。さらに、症状の進行とともに失明の危険をもともなう恐ろしい病気であること。そんな共通点がありますが、両者には決定的な違いがあると言います。それは・・・

緑内障は自覚症状がないことが多く、気付かない間に静かに病状が進行する病気であるのに対して、加齢黄斑変性は視野の中心がゆがんで見えたり、暗く見えたりといった自覚症状があらわれます。さらに自覚症状があらわれてからの病状の進行が速いのも特徴です。

いずれにしても恐ろしい病気であることに変わりはありませんね。ですが、先の母の例で言うと、検査で「加齢黄斑変性の疑いあり」と診断されたおかげで、自覚症状のない緑内障に気付くことができ、いち早く治療に取り組めたことは、とても幸運だったと思っています。やはり定期的な検診は必要だと実感しました。

と、話がそれてしまったところで、メインテーマに戻します。

加齢黄斑変性の病状を食い止めると期待されたサプリメント

実は以前より、加齢黄斑変性の発症部分・・・つまり、黄斑部の黄斑色素の主成分であるルテインとゼアキサンチン(※1)、さらに網膜を形成する主成分であるDHAとEPAを積極的に摂取することで、加齢黄斑変性の進行を食い止める可能性があると考えられてきました。

(※1)β-カロテンやリコピン等のカロテノイドの一種で緑黄色野菜に多く含まれる色素成分です。

確かに、加齢黄斑変性の病巣である黄斑部や網膜の主成分を日常の食事やサプリメントなどを活用して積極的に補ってやることで、その病状の進行を食い止められるという考え方は理にかなっていると言えますね。

ところが今回、米国立衛生研究所のEmily Y. Chew氏らの比較試験の結果、次のような結果が出たのだそうです。

患者登録は82施設で06~12年に行われた。登録条件は、50~85歳で、両眼に大きなドルーセン(※2)が認められ進行AMD(※3)リスクが高い患者、または片眼に大きなドルーセンが存在し、もう一方の目が既に進行AMDで、他の眼疾患を有さない患者とし、4203人(平均年齢73.1歳、57%が女性)を登録した。登録患者のうち65%(2724人)が両眼に大きなドルーセンを有していた。

中略

5年の時点で分析対象になったのは6891眼で、それまでに1608人の1940眼が進行AMDと判定されていた。Kaplan-Meier曲線を描いて5年間に進行AMDとなる確率を推定したところ、プラセボ群が31%(406人の493眼)、ルテゼア群(※4)では29%(399人の468眼)、DHA・EPA群(※5)では31%(416人の507眼)、併用群(※6)では30%(387人の472眼)だった。

原文のままだと少し小難しいので勝手に注釈を入れておきます。
(※2) : ドルーセン(ドルーゼン)とは、それ自体は病気ではありませんが、網膜の視細胞から生み出される老廃物で、加齢により上手く処理されなくなってくると出現し、加齢黄斑変性の前駆病変として重要視されているものです。
(※3) : ADMとは加齢黄斑変性のことです。
(※4) : ルテイン(10mg)とゼアキサンチン(2mg)を投与する群
(※5) : DHA(350mg)とEPA(650mg)を投与する群
(※6) : これら両方を併用する群

要するに、加齢黄斑変性の進行率は、比較のためのプラセボ群(偽薬を服用していた群)も、ルテインとゼアキサンチンを摂取していた群も、DHAとEPAを摂取していた群も、さらにはその両方を摂取していた群もほとんど変わらなかった・・・

つまり、加齢黄斑変性に効果があると考えられていた、ルテイン、ゼアキサンチン、DHA、EPAをサプリメントなどによって積極的に摂取したとしても、その病状の進行を抑えることができない可能性が明らかになったわけですね。何とも残念な結果です。

加齢黄斑変性の進行は止められなくても予防は可能?

サプリメント

とは言え、引用した比較試験の対象者の記述にもあるように、今回の大規模な試験はあくまで加齢黄斑変性を発症するリスクが非常に高いと言われる、大きなドルーセン(ドルーゼン)を両目、あるいは片目(もう片方の目は既に加齢黄斑変性を発症している)に有している人を対象にした試験です。

それよりも前の段階、つまり、まだドルーセン(ドルーゼン)が現れていない段階での”加齢黄斑変性の予防”という観点から考えれば、ルテイン、ゼアキサンチン、DHA、EPAに何らかの効果が期待できると考えても良いと言えるのではないでしょうか。

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