先天性風疹症候群の例はゼロ!風疹予防接種時に妊娠していても大丈夫

Category : 風疹
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風疹の予防接種後に妊娠していることが判明!どうすれば?このような相談が多く寄せられていることを受け、今回、厚生労働省が緊急見解を発表しました。妊娠中の風疹予防接種がなぜ危険なのか?人工中絶の必要は?実際のリスクはどの程度?などを詳しく解説します。

風疹が大流行する中、過去最悪のペースで増え続ける風疹感染者数に各自治体も危機感を強め、大都市圏の自治体を中心に風疹ワクチンの接種費用を助成する動きが広まっています。

以前「 風疹の効果的な予防対策は風疹ワクチンのみ! 」でも取り上げたのですが、現時点で風疹の感染を最も効果的に予防する手段は風疹ワクチンの接種です。これから夏にかけて感染力のピークを迎えると言われる風疹。さらなる感染拡大を抑え込むためにも、全国規模でこの動きが広がって欲しいものですね。

ちなみに、ネット上で風疹ワクチンの予防接種が受けられる最寄りの医療機関を簡単に見つける方法をご存じですか? 以前に投稿した「 風疹ワクチンの任意接種ができる最寄りの医療機関を簡単に見つける方法 」で、図解を使って詳しく解説していますので参考にしていただければと思います。

風疹の予防接種後に妊娠していることが判明!どうすれば?

一方で、予防接種の広がりと同時に妊娠年齢の女性が風疹ワクチンを接種する機会も増加し、それに従って次のような相談が医療機関やインターネット上に多く寄せられるようになっているのだとか。

最近,風疹含有ワクチンを接種した。その後妊娠に気づき,産科を受診したら妊娠初期と診断された。かかりつけ医に人工中絶を勧められたがどうすればよいか

接種後に産科で妊娠が判明し,人工中絶を勧められたが,別の病院では“大丈夫”と言われて悩んでいる

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1305/1305056.html

と言うのも、風疹ワクチン、及び麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)の添付文書には「妊娠可能な婦人においては、あらかじめ約1カ月間避妊した後接種すること、及びワクチン接種後約2カ月間は妊娠しないよう注意させる」との記述があるように、本来であれば妊娠中の女性のワクチン接種、及び、ワクチン接種直後の妊娠は避けるように奨励されているからです。

妊婦さん、特に妊娠初期の女性が風疹に感染することで、その胎児に先天性風疹症候群が発症するリスクが高まってしまう問題に関しては、「 風疹の本当の恐ろしさは先天性風疹症候群 」で詳しく解説しています。

妊娠中の風疹ワクチン接種がなぜ危険なのか?

そもそも風疹ワクチンや麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)は、弱毒化した風疹ウイルスを培養・増殖させ、凍結乾燥したもので、この弱毒化した風疹ウイルスをあらかじめ接種しておくことで、通常の風疹感染とは違って、ほとんど風疹の症状を出さないまま、風疹ウイルスに対する免疫を獲得することを狙いとしたものです。

弱毒化したとは言え風疹ウイルスを体内に取り込むわけですから、予防接種を受けた時点で妊娠をしていた場合、または体内で免疫を獲得する過程で妊娠をした場合、風疹ウイルスが胎児へ感染するリスクはゼロではないと考えられています。先述したワクチンの添付文書の文言は、そのための注意喚起だと言えますね(アメリカでは接種後の避妊は1ヶ月だけのようです)。

では、実際のところはどの程度のリスクがあるのでしょう?

風疹ワクチンやMRワクチンにそのような注意書きがある一方で、実は、これまで日本や海外で妊婦さんへの風疹ワクチンの接種がなされてしまったケースは少なくありません

ブラジルでは妊娠に気付かずに風疹ワクチンを接種した例、及び、ワクチン接種後30日以内に妊娠した例、あわせてなんと 2,292 例もの報告があるですが、ただの一人も先天性風疹症候群をもって誕生した赤ちゃんはいなかったとの報告があります。

またブラジルだけではなく、日本でも 800 例ほどの妊婦さんが風疹ワクチンを誤接種してしまった症例が過去にあるのですが、日本の場合にもブラジルと同じく、生まれてきた赤ちゃんに先天性風疹症候群が認められた例は一例もなかったのだそうです。

この問題に関して厚生労働省研究班が発表した緊急見解

厚生労働省研究班は「これをもって妊娠中の風疹ワクチン接種が、先天性風疹症候群の発症をもたらす可能性が否定されるわけではない」ものの、「世界的に見てもこれまで風疹ワクチンによる先天性風疹症候群の発生報告はない。」とした上で、

万が一、風疹ワクチンや風疹・麻疹混合ワクチン(MRワクチン)を接種した後に妊娠が判明した場合でも、先天性風疹症候群を危惧して人工中絶などを考慮する必要はないと考えられる

との緊急見解をとりまとめ、公表すると同時に、日本産婦人科学会などに呼びかけました。より詳しくは「日本周産期・新生児医学会」のホームページより「妊娠中に風疹含有ワクチン(麻しん風しん混合ワクチン、風しんワクチン)を誤って接種した場合の対応について」というタイトルのPDFファイルをダウンロードすることができますので、気になる方はご一読いただければと思います。

日本周産期・新生児医学会のホームページ

※ 【 2014.1.13 追記 】
現在は、同ホームページのトピックス一覧ページの中にリンクが移動しています。数多くのトピックスの中から探さなくてはならくなってしまったので、お急ぎの方のために直接リンクを貼っておきます。以下のリンクをクリックしてダウンロードしてください。

妊娠中に風疹含有ワクチン(麻しん風しん混合ワクチン、風しんワクチン)を誤って接種した場合の対応について 」(PDFファイル)

とは言え、これはあくまで緊急避難的な見解だと言えます。基本はやはり「妊婦へのワクチン接種は避けることと、風疹ワクチン接種後2ヶ月間の受胎は避けるように推奨されていること」に変わりはないことに注意してください(男性の場合は、ワクチン接種後も避妊の必要はありません)。

産後早期、授乳中の風疹ワクチン接種について

最後に、産後早期、授乳中のワクチン接種についても、母乳中にわずかにワクチンの成分が検出されることがあるものの、それによる赤ちゃんへの影響はないとの見解が示されています。むしろ、出産後はすみやかに風疹ワクチンを接種することが推奨されています。(産後4日目に予防接種実施している施設によれば、効果や副反応についてこれまで特に問題はなかったとのことです。)より詳しくは「風 疹 と 母 子 感 染 2012年版」を参照していただければと思います。

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