「猛毒型O157」を発見!通常のO157との識別方法も解明

同じO157に感染した患者でも、軽い症状だけで回復する人もいれば、腎臓や脳などに重い障害を引き起こす重篤な症状に陥ってしまう人がいるのは何故でしょう?今回、病原性大腸菌O157の中に、重篤な症状を引き起こす「猛毒型」があることが発見されました!

病原性大腸菌O157の3つの特徴

病原性大腸菌O157と言えば、その感染力の強さが大きな特徴で、同じ食中毒をひきおこすサルモネラ菌などの場合は、100万個以上が体内に入らないと感染しないのに対して、O157の場合はたったの100個で感染し激しい症状が現れると言われています。このようにO157の感染力は強いので、食品にごく少量の細菌が付着しても感染するのはもちろんのこと、たとえば入浴やタオルの共用だけでも感染が広がる恐れがあります。

また、O157は腸の中で菌が繁殖して毒素を作るために、潜伏期間が4日~8日と他の細菌(3日程度)よりも長いために、感染源が特定しにくいといった特徴もあるため、その間に汚染された食品が流通してしまったり、家族の間で二次感染が広がったりする可能性があるのも恐ろしい点ですね。

さらに病原性大腸菌O157は、大腸内で増殖する際、腸管内で「ベロ毒素」と呼ばれる出血性下痢の原因となる毒素を作るため、同じ特徴を有する026、O111、O128などと共に「腸管出血性大腸菌」とも呼ばれ、平成8年には法定伝染病にも指定されました。

同じO157に感染しても症状が大きく異なるのはなぜ?

以上のような恐ろしい特徴を有する病原性大腸菌O157ですが、同じO157に感染した患者の間でも、それほど重篤な症状にならずに回復する人もいれば、逆に腎臓や脳などに重い障害を引き起こし、最悪の場合には死にも至ってしまう人もあらわれるなど、人によって症状が大きく異なることが指摘されていました。しかし、これまでのところ、単に「患者の体調によるのではないか?」など様々な説がありましたが、そのハッキリとした理由は明らかになっていませんでした。(O157が溶血性尿毒症症候群や脳症など重篤な症状をもたらす確率は日本では1.4%とされています。

ところが今回、千葉大学の野田公俊教授の研究チームは、病原性大腸菌O157の中に、健康な人でも死に至るほどの重篤な症状を引き起こす「猛毒型O157」が存在することを発見しました!

猛毒型O157の詳しいメカニズムがわかった!

通常、細菌などの異物が体内に侵入してきた場合、侵入した異物を撃退する細胞(マクロファージ)が、殺菌物質(一酸化窒素)を放出して侵入者(細菌)を撃退します。ところがこの「猛毒型O157」は、マクロファージが放出した一酸化窒素を分解してしまう能力を備えていることがわかりました。つまり、「猛毒型O157」には体内に侵入した細菌を撃退する防御システムが効かなかったわけですね。さらに、マクロファージが放出する一酸化窒素が分解され減少してしまうと、O157が出すベロ毒素が、なんと通常の2~3倍に増えることも確認されたのだとか。「猛毒型」と名付けられた理由は、きっとこの辺りから来ているのでしょう。

たとえ「猛毒型」でも早期識別で恐くない!待たれる検査法の実用化~

以上のように恐ろしい「猛毒型O157」ですが、今回の研究成果は恐ろしい話ばかりではありません。研究グループによると、感染したO157が猛毒型かどうかは、遺伝子を調べれば、ほんの1時間~2時間もあれば識別することが可能で、すでにその検査方法も考案しているのだそうです。残念ながら猛毒型O157の検査法の実用化まではこぎつけてはいませんが、これが実用化されれば、より早期の段階で「猛毒型O157」としての適切な治療が行えるようになり、症状が重篤化する危険性を排除することができると言えましょう。

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Category : 健康・医学の最新情報