自分に最適な【胃がん検診】の検査方法や検査頻度を知る方法

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胃がん検診であなたが受けるべきはエックス線検査(バリウム検査)ですか?それとも内視鏡検査ですか?検査の頻度は何年に1回?あなたが負っている胃がんリスク別に”最適な胃がん対策”がわかる!「胃がん罹患率予測モデル」の具体的な活用法を詳しく解説しています。

自分に最適な胃がん対策とは?

厚生労働省は2016年度より、市町村で実施される胃がん検診として、「50歳以上を対象に2年に1回の内視鏡検査」を推奨する方針を固めました。

但し、実際には検査体制の不備などを理由に、当面の間はこれまで通り「40歳以上に対して年1回のエックス線検査(バリウム検査)」も引き続き推奨し、我々はいずれかの方法を選択することとされています。

さて、そこで質問です。

あなたは以下の疑問に自信を持って答えることができますか?

  • 胃がん検診であなたが受けるべき検査方法はエックス線検査ですか?それとも内視鏡検査ですか?
  • 検査の頻度は本当に毎年必要ですか?逆に、2年に1回だけで大丈夫ですか?
  • そもそも、あなたにとって効果的な胃がん予防対策をキッチリと把握し、実践していますか?

実は、これらの疑問に対して、一律に答えを出すことはできません。なぜなら、我々ひとりひとりが負っている胃がんリスクには違いがあるからです。

そして、これらの個別的な疑問に対して、一つ一つ答えを出すための情報を提供してくれるのが、前記事で取り上げた「胃がん罹患率予測モデル」に他なりません。

胃がん罹患率予測モデル

つまり、この予測モデルは、単にあなたの将来の胃がんリスクを予測するだけのものではありません。あなたが負っている胃がんリスクに応じて、最適な検査方法、検査頻度、予防対策を決定するためのツールとして活用することが可能なのです。

そこで本記事では、実際に、この「胃がん罹患率予測モデル」をじっくりと分析することで初めて見えてくる、3つの注目すべきポイントを列挙した上で、そこから導かれるそれぞれのリスクに応じた胃がん対策を具体的に考えてみたいと思います。

本記事は前記事を前提にしています

但し、本記事は、この「胃がん罹患率予測モデル」の概要を解説した前記事を前提として書かれており、特に、この予測モデルの基礎となっている胃がんリスクのABC分類」に関する知識が不可欠となっています。

胃がんリスクのABC分類図

もしもこの辺りの知識に不安のある方は、本記事を読み進める前に、できれば前記事を一読していただければ、より理解が深まると思います。

【前記事】 あなたがこの10年間に胃がんを発症するリスクはどれくらい?

とは言え、そんな時間なんてないという方もいらっしゃるでしょう。とりあえず結論のみ知りたいという方もおられると思います。そんな方達のために、本記事の結論部分へジャンプできるリンクも置いておきます。

  1. 【結論1】 胃がんリスクが極めて低いA群の胃がん対策
  2. 【結論2】 B群に属する人の具体的な胃がん対策は?
  3. 【結論3】 すでに胃粘膜の萎縮が進んでしまっている人の胃がん対策

胃がん予測モデルから見えてくる注目すべき3つのポイント

男性の「胃がん罹患率予測モデル」

それではいよいよ本題です。まずは上の「胃がん罹患率予測モデル」を、今一度じっくりと眺めてみましょう。男性も女性もリスクの数値こそ異なりますが、全く同じ傾向が見られますので、ここでは男性の予測モデルを使って考えていきたいと思います。

【注目ポイント1】
ピロリ菌の感染がなく萎縮性胃炎も認められないA群の胃がん発症リスクは、他のB~D群に比べると、全ての年代において極めて低い。

A群の胃がんリスクは極めて低い

やはり胃がんリスクを評価する場合、ピロリ菌感染の有無と、萎縮性胃炎の有無という2つの要件が何よりも重要であることがわかりますね。

また、上下水道の完備など衛生状態の整った現在では、ピロリ菌の感染のほとんどは、まだ免疫機能が十分に発達していない5歳以下の幼児期に、母親が咀嚼した食べ物を食べさせるなどによる母子感染の可能性が高いと考えられています。

これに対し、免疫力の備わった成人の場合は、たとえピロリ菌に感染したとしても、せいぜい一時的な症状が出る程度で、通常は免疫による排除によって自然治癒すると言われています。

つまり、一般にピロリ菌検査を受ける人の年齢を考慮した場合、A群に属するとの判定を受けた人は、これから先もピロリ菌に感染する可能性は低いと考えられるのです。

【結論1】 胃がんリスクが極めて低いA群の胃がん対策

と言うことは、A群に属する人の場合は、頻繁に胃の調子を崩すようになった…など、特に気になる症状がある場合を除き、毎年のように胃部レントゲン検査(バリウム検査)を受ける必要はないと言えますね。一般に3~5年に1回程度の検診で十分であるとされています。

但し、残念ながら検査精度には限界もあるので、たとえA群との判定を受けた人であっても、念のために一度は内視鏡検査を受けておいた方が良いとされています。


【注目ポイント2】
B~D群は喫煙習慣や塩分の摂りすぎ、家族歴などの「その他の危険因子」による影響が非常に大きく、これらの危険因子を有していることによってリスクが倍増している。

その他の危険因子による影響

逆に言えば、B~D群に該当する人は、その他の危険因子を改善することで、将来の胃がん発症リスクを大きく引き下げる余地があると考えることができます。

家族歴といった遺伝的因子こそコントロールはできませんが、飲酒や喫煙習慣、塩分の摂りすぎなどの危険因子は、心がけ次第で十分に改善することが可能です。たとえ一度に改善することは難しくても、一つずつでもつぶしていくことで、将来の胃がんリスクを大きく抑えることに繋がるのです。

もちろんA群についても同様の傾向が見られますが、A群は全体のリスク自体が小さいため、その他の危険因子の有無によるリスク差の数値自体は僅少である言えます。

但し、これをもってA群に属する人は、その他の危険因子を軽視しても良いということではありません。B群~D群に比べるとリスクの数値自体は低いものの、危険因子の有無によってリスクが大きく変わってくることに違いはありませんから…


【注目ポイント3】
胃粘膜の萎縮が進んでいるC群やD群を、ピロリ菌に感染はしているものの、まだ胃粘膜の萎縮が特に見られないB群と比べた場合、胃がんの発症リスクが倍増している。

胃粘膜の萎縮が進むと胃がんリスク倍増

胃がん発症リスクは、胃粘膜の萎縮による影響が想像以上に大きいと言えます。また、上記グラフを見ていただけるとわかる通り、その影響は加齢にともなって加速度的に大きくなっていくこともわかります。

過去記事「 ピロリ菌が胃がんを引き起こすプロセス 」で詳しく解説していますが、ピロリ菌の感染は長い年月をかけて胃粘膜の萎縮を促していきます。だとするならば、できるだけ早い時期にピロリ菌を除菌することが、その後の胃がん発症リスクを大きく抑制することに繋がると言えますね。

若い人は胃の不調があらわれる前にピロリ菌対策を!

もちろんピロリ菌を除菌したからと言って、胃がんリスクがゼロになるわけではありませんが、特に若い人の場合は、胃の不調が出てからではなく、胃の不調があらわれる前にピロリ菌検査を受け、除菌治療を受けることで、その後の長い人生における胃がん発症リスクが大きく軽減されると考えられます。

但し、人によってはピロリ菌の除菌治療におけるリスクも十分に考慮する必要があると考えています。除菌治療にともなうリスクや、除菌治療を受ける際に注意すべきこと、成功率を上げるために事前に実践しておいた方が良いことなどについて、下記の記事にまとめておきました。除菌治療を決意する前に、是非一読していただければと思います。

【結論2】 B群に属する人の具体的な胃がん対策

以上のように、B群に属する人にとって、最も効果的な胃がん予防対策はピロリ菌の除菌であると言えるのですが、何らかの理由により除菌治療を受けることができない人、除菌治療に失敗してしまった人の場合は、やはり年に1回は胃部レントゲン検査(バリウム検査)を受けて、胃がんはもちろんのこと胃潰瘍やポリープなどの早期発見に努めるべきだと言えます。

また、厚生労働省の推奨通り、2年に1回は内視鏡検査を受けて、目視により胃粘膜の萎縮度をチェックしておくと安心ですね。胃粘膜の萎縮度チェックについては、血液検査だけで可能なペプシノゲン検査をうまく併用するという手もあります。

もちろん、もしも胃の不調が少しでも長引くような場合には、定期的な検診にこだわることなく、すみやかに精密検査を受けることを考えるべきであるのは言うまでもありません。

ピロリ菌の除菌に成功した人の注意点

一方、B群に属していた人がピロリ菌の除菌治療を受け、見事除菌に成功した場合は、もちろんピロリ菌がいなくなったことで、それ以降はピロリ菌による悪影響を受けることはありません。

また、B群に属していたということは、胃粘膜の萎縮も認められないか、あったとしてもまだ萎縮度が低い状態であるということです。ということは、B群の人はピロリ菌の除菌に成功しさえすれば、その胃がんリスクはA群並みに下がると考えることができるのでしょうか?

結論から言うと、残念ながらそうとは言い切れないのです。過去にピロリ菌に感染したことのある人は、がん化に向けたスイッチが入り、感染したことのない人に比べると、胃がんリスクが高まるとする見解もあるからです。

依然としてピロリ菌が胃の中に居座っている人ほど気にする必要はありませんが、少なくとも2~3年に1回の定期検診など、必要最低限の経過観察は続けていく必要があると言えますね。

但し、高校生くらいまでの早い段階で除菌に成功した場合には、ピロリ菌の影響を受けていた期間が短いこともあり、がん化スイッチによるリスクは低くなるとの報告もあります。その意味でも、より早期のピロリ菌検査が重要になると言えましょう。

【結論3】 すでに胃粘膜の萎縮が進んでしまっている人の胃がん対策

最後に、C群やD群に属し、すでに胃粘膜の萎縮が進んでしまっている人の場合は、少なくとも年に1回は胃カメラによる内視鏡検査を受け、目視によって胃粘膜の状態をチェックして注意深く経過を観察していく必要があります。

また、繰り返しになりますが、特にこのC群、D群においては、飲酒や喫煙習慣、塩分の摂りすぎなどのその他の危険因子による胃がんリスクへの影響が、非常に大きいことを何よりも意識することが重要だと言えますね。

たとえ胃粘膜の萎縮が進み、胃がんの発症リスクが高いC群、D群に属していたとしても、その他の危険因子を一つ一つ潰していくことで、そのリスクを大きく軽減させることができるんだと前向きに捉えましょう。

さらに、定期的な検査を欠かさずに受けることにより、たとえ胃がんを発症したとしても早期のうちに発見することさえできれば、何ら恐れる必要はありません。要するに、C群、D群に属する人は、まずはご自身の胃がんリスクが低くないことをしっかりと自覚することこそが何よりも重要であると考えています。

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Category : 胃痛・胃の不快感・胸焼け