酸化マグネシウムを安全な便秘薬だと思っていませんか?高マグネシウム血症に要注意

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酸化マグネシウムは、安全性の高い便秘薬などとして広く使用されてきました。ところが今回、高マグネシウム血症を発症し重篤化したとする報告が多数寄せられていることが判明。特に高マグネシウム血症に注意すべき人とは?その初期症状や予防対策についても詳しく解説しています。

酸化マグネシウムは、海水など自然界に含まれる天然由来成分で、比較的副作用の少ない医薬品として、現在、便秘薬や胃酸を中和する制酸剤などとして広く使用されています。

ところが今回、この酸化マグネシウムを服用中の患者が、高マグネシウム血症を発症して重篤な状態に陥ったとする症例が、この 3年間に 29例も報告されていたことが明らかになりました。

死亡例も 4例報告されており、これを受けて医薬品医療機器総合機構(PMDA)は先日、同医薬品の「使用上の注意」の改訂を発表し、注意を喚起しています。今後は、一般用医薬品でも同様の改訂が行われる見通しのようです。


そこで本記事では、まずは現在広く使用されている酸化マグネシウムの処方薬と一般医薬品の具体的な商品名を列挙した上で、今回、医薬品医療機器総合機構に寄せられた症例の特徴から、特に注意すべき人注意すべき高マグネシウム血症の初期症状を明らかにするとともに、具体的にどのような対策をとるべきかについて詳しく解説しています。

酸化マグネシウムの処方薬と一般医薬品

酸化マグネシウムは、昭和25年に医薬品として認定されて以来、65年以上にも渡って便秘薬や制酸剤などとして広く使用されており、おおよその年間の累計使用者数は約4,500万人にも及ぶとされています(平成17年調べ)。

以下、代表的な処方薬と一般医薬品を列挙してみました。特に処方薬については、便秘症、胃・十二指腸潰瘍や胃炎などの診断を受けた場合、ごくごく一般的に処方されるお薬ですので、良くご存知の方も多いでしょうし、現在も服用している方も少なくないのではないでしょうか。

実際のお薬の画像も手に入ったものはあわせて掲載しておきましたので、この機会に是非、ご自分のお薬と照合してみてください。

酸化マグネシウムの処方薬

酸化マグネシウム原末
酸化マグネシウム細粒
酸化マグネシウム錠

酸化マグネシウム錠

マグミット細粒
マグミット錠

マグミット錠

マグラックス細粒
マグラックス錠

マグラックス錠

「重質」カマグG

「重質」カマグG

重質酸化マグネシウム
重カマ
カイマックス錠

酸化マグネシウムの市販薬

ミルマグ

ミルマグ

3Aマグネシア

画像説明

スイマグ

画像説明

高マグネシウム血症の重篤症例の特徴

医薬品医療機器総合機構(PMDA)によると、この3年間に酸化マグネシウムを使用し、高マグネシウム血症に至った29例の症例を分析した結果、次のような注目すべき特徴が認められたのだとか。

  • 症例は高齢者に多い
  • 高齢者は重篤化しやすい
  • 便秘症の患者が多い
  • 腎機能が正常の場合も重篤例あり
  • 通常用量以下の使用でも重篤例あり
  • 定期的な血清マグネシウム濃度の測定なし

特に、血中のマグネシウム濃度の定期的な測定が行われていないために、意識障害などの重篤症状があらわれるまで高マグネシウム血症に気付かない症例が多かったようです。

高マグネシウム血症に注意すべき人は?

通常、摂取したマグネシウムの過剰分は尿と一緒に排出されるので、これまでは腎機能が正常であれば高マグネシウム血症が起こることはまずないと考えられてきました。

ところが前述の報告された症例の特徴を見てみると、腎機能が正常の人でも重篤化しているケースがあり、通常用量以下で慎重に用いていた場合でも重篤化する可能性が示されたことは注目すべきではないでしょうか。

酸化マグネシウムは、これまで語られてきたその安全性から、頑固な便秘症に対して1ヶ月以上漫然と投与される例も少なくないようです。たとえ腎機能の低下が見られない場合であっても、頑固な便秘症ではマグネシウムの吸収率が上昇するため、同薬の長期投与によって高マグネシウム血症を発症するリスクが高まると考えられています。

特に、高齢者が高マグネシウム血症を起こすリスクが高く、また、重篤化する症例が多かったことを考えると、これからは高齢者に対する酸化マグネシウム剤の使用をより慎重にすべきだと言えますね。

もちろん、これまで考えられていた通り、腎臓の機能が低下している人は、マグネシウムの排出がうまくできず、過剰分がどんどん身体に蓄積していくので、高マグネシウム血症のリスクが高まることに変わりはありません。

また、大量のマグネシウムは心臓に悪影響を及ぼすので、何らかの心疾患や心機能障害を抱えている人が酸化マグネシウムを使用する場合は、不整脈等に十分に注意しなければなりません。

高マグネシウム血症の初期症状

高マグネシウム血症の主な症状は、呼吸抑制、意識障害、不整脈などですが、最悪の場合心停止に至ることもあります。ですので、次のような初期症状があらわれた場合には、直ちに薬剤の服用を中止して、医療機関に受診すべきだと言えます。

  • 悪心
  • 嘔吐
  • 口渇
  • 血圧低下
  • 徐脈 (※1)
  • 皮膚紅潮
  • 筋力低下
  • 傾眠 (※2)

とは言え、これらの高マグネシウム血症の初期症状は、決して同疾患に特有のものではありません。酸化マグネシウムを使用している方、特に長期的に使用している方は、これらの症状があらわれた場合は、積極的に高マグネシウム血症を疑ってみる必要があると言えましょう。

もちろん、これらの症状を訴えることの難しい認知症患者や統合失調症患者などに対しては、たとえ腎機能低下や高齢などの高マグネシウム血症の危険因子を有していない場合であっても、より慎重な使用が求められることは言うまでもありません。

(※1)
徐脈とは?

不整脈の一種で、心臓の拍動数が異常に減少する状態です。一般に、成人の安静時の心拍数は毎分60~80回程度ですが、60回未満が徐脈と定義されています。

徐脈は脳に必要な血液を送ることができなくなるため、めまいや眼前暗黒感(急に目の前が暗くなること)、失神、疲労感、息切れ、ふらつきなどがあらわれます。

但し、よく鍛えられたアスリートなど、心拍数が少ないことも多く(「スポーツ心臓」とも呼ばれています)、このような症状が特にみられなければもちろん問題はありません。

(※2)
傾眠とは?

傾眠とは、呼びかけや大きな音など、周囲からの刺激があれば目を覚ましますが、しばらくするとまた意識が遠のいていくような、意識が混濁した状態を指します。

高マグネシウム血症を予防するために

長きに渡って、副作用の少ない便秘薬や制酸剤として広く処方されてきた酸化マグネシウムですが、これまで高マグネシウム血症のリスクが高いとされてきた腎機能や心機能が低下している人だけでなく、これからはより慎重な使用が求められそうですね。

特に、高マグネシウム血症の発症例、そして重篤化例の多かった高齢者は、酸化マグネシウムを必要最小限の使用にとどめるべきだと言えましょう。もしも長期的に服用する必要がある場合には、定期的に血液検査を実施して、血清マグネシウム濃度をチェックしておく必要があります。

現在、酸化マグネシウムを服用されている方は、前述のような高マグネシウム血症の初期症状はありませんか?また、血中マグネシウム濃度を測定した覚えがない場合は(通常の血液検査では血中マグネシウム濃度は測定されません)、この機会に血液検査を受けられることをおすすめしておきます。

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