オリーブオイルとナッツ類の積極摂取で乳がん予防効果を確認

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オリーブオイルやナッツ類をたっぷり摂取できる地中海食に、乳がんを最初に発症リスクを顕著に抑制する優れた効果が確認されました。大規模な比較試験における長期的な食事介入によって、乳がんの初発予防の有効性が確認されたのは初めてのことです。

先日、タレントの北斗晶さんが乳がんであることを公表されました。毎年欠かさずマンモグラフィーとエコー検査を受けられていたにもかかわらず、たった1年で直径2cmもの大きな腫瘍になっていたこと、さらに、がんの転移がリンパ節にまで達していたことは、乳がんの恐ろしさを改めて実感するには、余り有るほどインパクトのあるものでした。

現在、この北斗さんの勇気ある発表で、乳がん検査を受診する女性が急増しているのだとか。これまで先進国の中では飛び抜けて低かった、我が国の乳がん検診の受診率が、これを機に少しでも上昇することを願うばかりです。

乳がん検診受診率の国際比較

そして今回、そんな乳がんの予防に関する注目すべき報告があったことをご存知ですか?

しかも、その報告は、これまで当サイトで度々取り上げてきた、スペインの大規模比較試験「PREDIMED」の後付け解析の結果、新たに得られた研究成果なのです。

まずは「PREDIMED」のおさらいから

比較試験「PREDIMED」とは、ごくごく簡単に説明すると、糖尿病や高血圧、肥満、喫煙習慣などの危険因子を複数有する高リスク者を対象として、オリーブオイルやナッツ類豊富な地中海食の、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の初発予防効果を確認する目的でスペインで実施された大規模な調査研究です。

ちなみに、この調査のメインテーマである、地中海食に認められた心血管疾患の初発予防効果に関する研究結果については、以下の過去記事に詳しくまとめてあります。

オリーブオイルとナッツが初めての心筋梗塞や脳卒中を30%減少

また、この「PREDIMED」は上記のメインテーマだけでなく、サブ解析や後付け解析によって、他にも様々な注目すべき報告がなされてきました。中には疑問の余地が残る解析結果もあるようですが、その詳細については、以下の過去記事を参照していただければと思います。

そして今回も、この「PREDIMED」の後付け解析によって、オリーブオイルやナッツ類の摂取を強化した地中海食に、新たに乳がんの初発予防効果、つまり最初に乳がんを発症するリスクの抑制効果が初めて確認されたのです。

3つのグループにランダムに振り分けて評価

そもそもランダム化比較試験「PREDIMED」は、被験者を以下の3つのグループに1:1:1の割合でランダムに振り分け、予後の評価を行ったものです。

  • EVOO群
  • ナッツ群
  • 対象群

それぞれのグループの具体的な内容は次の通り。

「EVOO群」とは、オリーブオイルを積極摂取するグループで、より具体的には、1日に50ml相当のエキストラバージンオリーブオイルの摂取を目標とされたグループです。

一方、「ナッツ群」は文字通りナッツ類を積極摂取するグループで、1日にウォールナッツを15g、アーモンドを7.5g、ヘーゼルナッツを7.5gの摂取を目標とされたグループです。

さらに、この両グループの比較対象として用意された「対象群」は脂質制限群で、オリーブオイルを含む植物油の摂取を1日にスプーン2杯以下に制限されたグループです。

乳がんの予防効果を分析した後付け解析の概要と結果

そして今回の後付け解析は、被験者のうちで比較試験開始時に乳がんの既往がなかった女性、4,152例が対象とされ、その後の乳がん発症状況について約5年に渡って追跡調査し、得られたデータを詳細に解析したものです。

では、その注目すべき解析結果に関する部分を抜き出して引用してみましょう。

中央値4.8年(SD 1.7)時点で35例の浸潤性乳がん発症が確認された。観察集団内の1,000患者・年当たりの乳がん発症者の割合は対照群の2.9に対し,EVOO群1.1,ナッツ群1.8と低下していた。

対照群と比較したEVOO,ナッツ各群の乳がん発症の多変量調整後ハザード比はそれぞれ0.32(95%CI 0.13~0.79),0.59(同0.26~1.35)であった。

オリーブオイルで68%、ナッツ類で41%乳がんリスクを抑制

今回、対象群と比較する形で、オリーブオイル群とナッツ群の乳がん発症状況を、約5年に渡って分析した結果、エキストラバージンオリーブオイルを積極摂取したグループで約 68%、ナッツ類を積極摂取したグループで約 41%の乳がんの発症を抑制する顕著な効果が確認されたのです。

この研究成果によって、オリーブオイルやナッツ類豊富な地中海食が、乳がんの初発予防に有益であることが示されたと言えますが、今回のような比較試験における長期に渡る食事介入によって、乳がんの初発予防の有効性が確認されたのは初めてのことなのだとか。

まだエビデンスが確立したとまでは言えないけれど…

その意味で実に貴重な研究成果であると言えるのですが、その一方で、今回の観察集団内における乳がん発症例は、約5年間で 35例と少なかったこと。さらに、これらの分析はあくまで比較試験のメインテーマではなく、後付け解析による分析結果であることなどの指摘があることも忘れてはなりません。

とは言え、乳がんは死亡率こそ高くはありませんが、女性のがんの中で患者数が最も多いがんであることも事実です。また、今回の北斗さんのように進行が速く、毎年欠かさず検査を受けていても、思った以上に進んだ状態で発見される可能性もあります。

オリーブオイルやナッツ類豊富な地中海食のイメージ

そんな乳がんが、オリーブオイルやナッツ類を毎日の食生活に積極的に取り入れるだけで、その発症リスクを大きく低減することができるとしたら、こんなに素敵なことはありませんね。

まだ現時点では「オリーブオイルやナッツ類で乳がんの発症リスクを抑制できる」可能性が示されたに過ぎず、その点は、今後のより長期かつ大規模な調査研究に期待するしかありません。

しかし、冒頭でもご紹介したようにオリーブオイルやナッツ類豊富な地中海食には、今回の乳がんの初発予防効果以外にも様々な健康効果が期待できますので、実践してみる価値は十分にあると言えるのではないでしょうか。

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Category : オリーブオイルの健康効果