【デング熱】今年は死亡率が跳ね上がるデング出血熱に注意!

「【デング熱】今年は死亡率が跳ね上がるデング出血熱に注意!」の続きを読む

昨年は約70年ぶりに国内感染が確認されたデング熱ですが、今年はより重症化リスクが高く、その死亡率は20%に及ぶとも言われている「デング出血熱」に注意する必要があるようです。その理由を明らかにし、デング出血熱の症状と危険性について解説しています。

昨年の夏、約70年ぶりに国内感染が確認されたデング熱。当時、当サイトでもこのトピックスについて取り上げましたが、結局昨年は、国内感染者だけで全国19都道府県で162人もの患者が出ました。

幸いにして、今年はまだ国内感染者は出ていないようですが、国立感染研究所によると、今年の第29週(7月13日~19日)の段階で、海外で感染し帰国後に発症した海外感染者が131人も報告されているようです。この数字は、統計をとり始めた1999年以降、最多のペースなのだとか。

デング熱患者報告数

その理由は、今年はマレーシアやベトナムなど、日本人の渡航者が多い東南アジアの各国でデング熱が昨年を上回るペースで発生しているためと考えられており、厚生労働省検疫所(FORTH)が発表している2015年8月4日現在の主要国における流行状況は次の通りです。
http://www.forth.go.jp/topics/2015/08041328.html

国名 患者数 前年同時期比
マレーシア 67,944 30.7%↑
フィリピン 40,593 -
ベトナム 18,000 38.8%↑
シンガポール 5,180 -
カンボジア 1,900 -
オーストラリア 1,089 -
ラオス 589 -
サモア 203 -
中国 43 -
ポリネシア 10 -

デング熱の4つの型と今年の検出状況

そもそもデング熱の原因ウイルスである ”デングウイルス” には、1型~4型の4種類があるのですが、昨年日本で大流行したのは1型でした。ところが今年、東南アジア諸国で多く報告されているのは2型なのだとか。

先ほど引用させていただいた、国立感染研究所のデングウイルス感染症情報のページに、2015年の第25週(6月15日~21日)時点でのデング熱患者のウイルス型別検出数が掲載されています。

デング熱患者のウイルス型別検出数

このグラフは、海外でデングウイルスに感染し、帰国後に日本で発症したデング熱患者のウイルスの型の内訳を示したものです。

昨年、日本で検出されたデングウイルスの型は、1型だけが飛び抜けて多い状態だったのに対し、上図をご覧になっていただければわかる通り、今年は1型とほぼ同数の2型のウイルスが検出されていることがわかります。

デングウイルスを媒介するヒトスジシマカが活発に活動するのは、8月~9月であることを考えれば、もしも、去年に引き続き今年もデング熱の国内感染が広がった場合、1型のデングウイルスだけでなく、2型のウイルスも広まる可能性があると言えるのです。

今年のデング熱リスクが去年と異なる理由

そして、この事実は、実は ”ある大きなリスク” を示しているのです。その大きなリスクとは、デング熱の次のような特質から導かれます。

デング熱は異なる型のウイルスに2度感染すると、重症化のリスクが高い ”デング出血熱” になりやすい。

一度、デングウイルスに感染すると、そのウイルスに対する免疫ができるので、例えば一度、1型のウイルスに感染した人は、もう同じ1型のウイルスには再感染しません。ところが、この4つの型のデングウイルスの遺伝子配列を比較すると、共通するのは6~8割程度だけなので、他の2型、3型、4型のウイルスには感染する可能性があります。

つまり、昨年の国内感染によって1型のデングウイルスに感染した人が、今年広まる可能性のある2型のウイルスに感染した場合はもちろん、たとえ昨年はデングウイルスに感染していなくても、今シーズン中に1型と2型のウイルスに相次いで感染した場合、デング出血熱になってしまうリスクが高まることを意味しているのです。

デング出血熱の主な症状と危険性

デング出血熱は最初はデング熱とほぼ同様に発症し経過するのですが、熱が平熱に戻りかける際に、突然に不安や興奮に襲われ、血液中の液体成分である血漿(けっしょう)が血管から漏れ出たり、全身出血症状があらわれたりすることがあります。

血漿が血管から漏れ出ると、具体的には胸水や腹水といった症状となってあらわれますが、この血漿の漏れが進行した場合、血液中の水分がどんどんと失われるわけですから、やがて血液が濃縮されてドロドロの状態になり、全身にうまく回らなくなります。これによりデング出血熱が重症化するとされています。

また、全身出血症状とは、具体的には皮下出血や鼻血、下血、血尿、吐血などの症状です。軽度の出血であれば特に問題はないのですが、出血量が増えて全身の血液量が減少した時、”デングショック症候群” と呼ばれるショック状態を起こします。

デング熱からデング出血熱に至った場合、適切な治療を受けることができなければ死亡することもあり、その死亡率は20%に及ぶとも言われています。

デング熱の初期症状を見極める

現時点で、デングウイルスに対する治療薬は存在せず、対症療法が中心となります。特に、デング熱の流行が見られる国へ渡航した場合はもちろんですが、たとえこの日本にいる場合でも、ヒトスジシマカが活動する時期に、下記のようなデング熱の代表的な初期症状がみられる場合には、病院で診察を受けるようにしましょう。

  • 突然の高熱
  • 目の奧の強い痛み
  • 頭痛
  • 顔面紅潮
  • 結膜充血

アスピリンが出血症状を引き起こす可能性

もしも急な発熱が見られた場合、ついつい市販の解熱剤などを服用してしまいがちですが、市販の風邪薬や解熱剤などに含まれているアスピリンなどのサリチル酸系医薬品は、出血症状を引き起こす可能性があるとされています。

くれぐれも熱が出たからと言って、これらの市販薬や以前に病院や薬局で処方された解熱剤を、安易に使用しないようにしてください。

デング熱に対する認識を新たに

以前に投稿した記事「 70年ぶりの国内感染【デング熱】80%は無症状!と言うことは… 」でも書きましたが、デング熱自体はたいした感染症ではありません。それどころか、たとえ感染していたとしても、無症状で済んでしまう人も多いと考えられています。

しかし、デング出血熱となると話は別。例えば昨年の流行でデング熱に感染はしたものの、結局は大した症状には至らず完治したような人は、デング熱を軽く考えてしまいがちではないでしょうか。

たとえそのような人でも、前回とは異なる型のデングウイルスに新たに感染した場合、デング出血熱になるリスクが高まること。さらに、今年は昨年とは異なる型のデングウイルスが広まる可能性があることをしっかりと認識し、キッチリと対策をしておく必要があると言えます。

6月から11月初旬にかけて、突然の高熱や目の奧の痛みなど、デング熱特有の初期症状が見られる場合は、まずはデング熱を疑って、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

はてなブックマーク
LINEで送る
up
Category : 健康・医学の最新情報